鮮紅の雫石※過激表現有(毒吐き注意)

焼香が絡みつく


涙、など


ただの厄介な排泄物だと思っていたが


濁った眸を洗い清めるこの水が


心に住み着いた記憶を養う様を


私はひとなりに、心地良く感じる



花の名前などろくに知らなかった貴様が


色とりどりの花を下僕に従え


今、私の前から消え行こうしている


抜け殻を私に鮮明に見せつけながら


伸ばした手を振り払うこともせず


穏やかに、緩やかに痛点を撫でながら


貴様は、私に涙を流させる



こんなに優しい振る舞い、貴様らしくない


貴様は事ある毎に勝手気ままに私を蹂躙し


触れられることすら汚らわしいと侮蔑を投げた


その癖、自分の痛みには慣れてなくて



――なのに



『切腹だぁ?刀は他者を斬るもんだろが。

 潔さにかこつけた弱い鼠の言い分なんざ聞く耳持たねぇよ。


 お前もいっぺんでもんな事考えて見ろ。一振りで思考を断ち切ってやる』


そう、呵々と笑っていたくせに


『俺は自分を斬るんじゃねぇよ。


 くだらねぇお前の心を…斬ってやるんだ‥』


そう、呟きながら


貴様は自身の心臓に刃を振り下ろした


飛び散った血は乾く間もなく


鮮紅なまま石化し、私の心に沈んだ




――弱い鼠は、貴様だ







【封】


ちなみにあらすじは、


『――でも、愛しい貴様を奪う貴様が、私は憎い。』


でした。

つまり自死をする人への告白のポエムでした(;^ω^)

なんですが、自死した相手からしたら、自分のことなんざ忘れてくれという思いの行為。

うーん、、いや、解説することが寒い?