イタ電から始まる百合ロマンス

『はい。来宮で』


「ハア…ハア……ハアハア…ッ。お、奥さん…今何色のパンツはいてんのかなぁ…ッ」


『…切るわよ』


「うえ!あ!……うん。だよね、やっぱ。…すみません…」


『…………』


「…?お…奥さーん?あの~切っていいですよ…?」


『……アナタ、声を聞く限り、紛れもなく女性よね?しかも若いお嬢さん。それが何でそんな変態じみたことしてるの』


「あ…あははー。バレバレ?…や~なんでって言われると困るんすけどねぇ。……あの…さ、あたし、実はもう、今からいっちゃおっかなあって思ってたんです」


『……』


「あ!ひ、引きますよねー!?いきなりこんな話されちゃ。ゴメンナサ」


『引かないわよ、私は。続けて』


「……っ。…あ…で、さ、最後くらい、ちょっとワガママ言ってみよっかなあって思って、それである人に電話かけようとしたんだけど、最後の最後で勇気でなくて…それで……」


『…それで…デタラメな番号押したら、私に繋がった?』


「…………はい。仰る通りです」


『そして、ある人とやらに抱いていた邪念が口から漏れてしまったと』


「…………………重ね重ね、仰る通りでございます…!で、でもっ、奥さんにはもうご迷惑おかけしませんから!ホントに変な電話かけてすみません!それじゃあ」


『待って!』


「…はい…待ちましたけ…ど?」


『…私がこの電話を切ってしまったら、アナタはどうするの』


「ど…どうって言われたら……。……そりゃあ…元の予定通り…人目につかないところでヒッソリグッタリと…」


『…じゃあ、私はどうなるの』

「うぇっ!?」


『人一人が今から死ぬって聞かされて、このモヤモヤとした気持ちをどう処理したらいいの』


「そ、それは…えと…ホントに、申し訳ないと平謝りするしかないですけど…」


『ダメよ。そんなんじゃ全くダメだわ』


「じゃっ、じゃああたしにどうしろって言うんですか!…もう、これ以上、あたしを追い詰めないでくださいよ…」


『…アナタ、今どこ?』


「どこって…」


『今からアナタを迎えに行くわ』


「は?……はあああああっ?お、奥さん大丈夫!?頭とか!」


『開口一番下着の色を聞いてきたアナタに心配されたくないわ。とにかく迎えに行くから』


「や、でも…やっぱ…」


『捨てるぐらいなら、私に寄越しなさい!アナタの人生!』


「……。ヤッバいわ奥さん……あたし鼻血吹き出そう。あと涙」


『後者だけでよし。あと私今は独身だから』



えんど?


後書き

いみがわからない

いみがわからない(二度目)

しかし変態も生きてます。

おパンツを被りながらも、生きてます。

恋は二回も三回も百回だって、訪れるもの。

死ぬ間際だって、人は愛するもの。愛されるもの。