死の一子相伝、或いは化身

死はエンディング

何故なら生の結末

人は何十年と云う年月――或いは発生して間もなく、その生涯を落とす――頁は閉じられる


死は始まり

何故なら新旧交代の時

人は前世の皮を剥き生まれ変わる――過去に未来に――はたまた現世に――常世に時計はないと云う


死は理

何故なら生物の死は確定済み

人は芽吹いた瞬間に生死の肥料を与えられる――生きるように、死なぬように――与える者は知りながら、慈しみ育む


死は縁

何故なら人の道は一人では立ちゆかぬもの

死は人に干渉し影響し感情を生む、人の世は人力装置――人がなくては人は感動もせず、ただ呼吸をし、食い眠る――動物としての本能を満たすのみ


死は幸福

何故なら生きる事の義務放棄

人は生きるからこそ悩み苦しみ死を願う――死ねば死にたいとは思わぬ、無知覚は究極の幸


――死は


――死は死


何故なら死を手中に収めた時、人は既に死んでいる


人は死に終止を見、新たな生を見、意味を見出す――そして死は人により伝染し、人は先を見果て――死の呪縛を知る


死は――連鎖

死は――歴史


過去から未来

全ては死が死に、死が生きた――死の系譜――死は、死の父母である


故に死ぬ生こそ、死継ぐ唯一の子であり、権化である



end


命に嫌われてるを聴きながら。