僕の名は(詩)

 生かす為に死んで、死んで死んで絶え間なく死んで。


 けれどもそれで、蒔かれた世界が芽吹くのなら、僕はあらゆるあなたの為に死にましょう。


 あなたの皮に、あなたの中に降り注ぎ、日の光に導かれ、僕は天に昇る。


 悲しくはありません。


 僕は大勢控えていますし、空からもまたすぐに産み落とされますから。


 世界は循環して成っています。


 繰り返される子孫繁栄。


 あなたが咲き乱れる日に、この僕はいなくとも、あの僕はいます。


 悲しくはありません。


 どの僕も皆、同じなのですから。


 きっとあなたも、見分けがつく筈はないのですから。


 悲しくは、ありません。


 あなたを元気に出来るのなら。


 あなたの助けになれるのなら。


 僕の死が、あなたの生に変わるなら。


 僕の名は、あなたによって生かされるのです。



 あなたこそが僕の、一滴の、水。